家づくりで悩むのが、どんな外観デザインにすればいいかということ。家の外観にはシンプル、ナチュラル、モダン、クラシックなど様々なスタイルがありますが、大事なことは自分の「好き」を知ることです。今回は、外観デザインの決め方と手順、完成度を上げる窓と外壁のデザインについてご紹介します。
目次
家の外観デザインの決め方。スタイル名からでは理想にはたどり着けない?
家の外観デザインの決め方に悩んでいる人も多いことでしょう。理想の外観デザインと出会うために大切なことは、スタイル名に縛られ過ぎることなく、自分の「好き」を見つけ出すことにあります。
家の外観デザインは、シンプル、ナチュラル、モダン、クラシック、和などのデザインイメージや、北欧、南欧、北米といった国別など、様々な方法で分類がされています。
例えば、シンプルな外観の家と聞いて、皆さんはどんな家を思い浮かべるでしょうか。シンプルナチュラルなら白い壁に三角形の屋根、そこに木製の玄関ドアやウッドデッキ、シンプルモダンならグレーの壁にフラットな屋根、黒い金属製のドアといったところでしょうか。
もちろん全く違うデザインの家を思い浮かべた方もいらっしゃることでしょう。そう、ひと口にシンプルといっても、そのバリエーションは数多く、一人ひとりイメージするものが異なります。
例えばシンプルナチュラルと聞いて、北欧デザインを思い浮かべる人は多いかもしれません。しかし北欧スウェーデンの伝統的な外観デザインは、赤い外壁に太く白い窓枠がアクセントになった、どちらかというと可愛らしいデザイン。シンプルナチュラルというイメージとは少し離れています。
国別の分類の場合も、例えば北米スタイルなら、その中にはコロニアル、ジョージアン、チューダー、ケープコッドなど様々な様式があり、建物の特徴が異なります。加えて、カリフォルニアスタイルやサーファーズハウスといったイメージによる分類もあります。
よくあるのが、同じスタイルの中にあっても、こっちは好きだけれど、こっちは苦手に感じるといったこと。もしくは、この様式が好きだと思っていたけれど、気に入っていたのは屋根とポーチのデザインで、本当に好きなのは別のスタイルだったというようなこと。
理想の外観をスタイルの分類の中から探すのはなかなか難しく、却って視野が狭くなってしまったり、もしかしたらこれまで考えたこともなかったスタイルの中に自分の「好き」があったりするかもしれません。
既成のスタイルに当てはまらない、子供の頃に見た絵本の中に出てきたような家で暮らしたいという夢をお持ちの方もいらっしゃることでしょう。理想の外観デザインに巡り合うためには、スタイルにとらわれ過ぎることなくもっと自由に考えること!大切なのは自分の「好き」がどこにあるのかを、自分で知ることにあります。
自分が「好き」と感じる外観写真を集めてみる。そこから見えてくるもの
理想の外観デザインの決め方、最初の手順は、好ましいと感じる家の外観写真を集めてみるところから始めましょう。そしてその家の外観のどこが好きかを考えてみてください。
例えばこちらは、北米の小さな住宅の写真です。個性的でインダストリアルなデザインでありながら、節のある板を使うことでナチュラルな荒々しさがあるところが素敵に感じます。皆さんもご覧になってまた別の感想を持たれたことでしょう。
大事なことは、自分の好きな写真を見つけたら集めておいて、どこが好きかを考えてみることです。集める際は、「好きな屋根の形」「好きな外壁デザイン」などのタグをつけておくと、後で見直しやすくなります。そしてそんな風に写真を集めていくと、だんだんと自分の「好き」が具体的に見えてきます。
例えば、現代的なデザインよりクラシカルな方が好み、男前よりはカワイイ感じ、屋根は勾配が急で大きく見える方がいい、瓦よりスレートがスッキリ感じる、外壁はクリアな白色がいい、でも素材感は欲しい、他ではあまり使われてない色でカラーコーディネートしてみたい、レンガとウッドデッキが似合う家に住んでみたいなどなど。
このように改めて考えてみることで、自分の「好き」が初めて分かったという人もいます。また本当に好きなのは別のデザインだったけれど何となく諦めていた、でもやっぱり夢を叶えたい!と改めて思いなおしたという人も。そこまで分かればもうしめたもの。理想の外観デザインと出会えるまでもう一歩です。
家の外観デザインを決める際は、街並みやエクステリア、インテリアとの調和を考える
自分の「好き」が見つかったら、次の手順は街並みやエクステリア、インテリアとの調和について考えてみましょう。
我が家が街の中でどんな存在だったら嬉しいでしょうか。せっかくの我が家ですから、存在感があって、周囲からも素敵と褒められたい、だからといって変に悪目立ちすることなく、街並みを美しく引き立てるような家。そんな家ならきっと嬉しいことでしょう。
周囲との調和を考える際には、やはり現地で検討することが必要です。自分が今考えている外観デザインがどんな風に映えるかを考えながら、家の周囲をゆっくりと歩いてみましょう。
また忘れがちなのが、エクステリアの計画です。門まわりやフェンス、庭のつくりは外観デザインの一部ですから、統一感を持たせつつ、お互いの存在を引き立て合うように計画をしましょう。エクステリアが後回しになるケースも多いのですが、家の設計段階で一緒に計画を立てておくと、家全体の完成度が格段に上がります。
そして玄関ドアを開けて中に一歩入ったら、その世界観がそのままに、今度は美しいインテリアが出迎えてくれたら、毎日がとても幸せなことでしょう。
よい住まいの条件のひとつは、これらの調和がとれていることです。家の外観デザインを決める際は、街並み、エクステリア、インテリアのバランスをよく考えて計画を立てましょう。
同じ色でも外壁材が違えば印象は変わる。維持費用も忘れずチェック
外観デザインの決め方、最後の手順は、外壁材や屋根材選びです。実はここがとても重要なポイント。というのも、どんな素材を選ぶかで外観の印象が変わるだけでなく、先々に掛かる手間と費用も大きく変わってくるからです。
例えばこちらは白い家ですが、外壁をタイル、モルタル、ラップサイディングで張り分けています。同じ白色でも使う外壁材によって印象が異なることがよく分かります。そしてそれぞれメンテナンスの手間と費用が異なります。
外壁材や屋根材には様々な種類がありますが、大事なことは最初に掛かる費用だけにとらわれるのではなく、長持ち度や先々に掛かる費用をしっかり検討することです。安かったけれど短期間で色褪せしてしまった、汚れがこびりついてキレイにならない、メンテナンスが大変で費用がかさむといったようでは困ります。
家の寿命は案外長いものです。最低でも向こう30年に必要なメンテナンスの手間と掛かる費用を確認し、美しさが長く続き、メンテナンスが楽で、維持費が安く済む材料を選びましょう。
窓のデザインと配置にこだわると洗練された印象の外観に
洗練された外観デザインにするためには、窓のデザインと配置も大切です。見かけることが多いのが、間取りにばかり気を取られ、外から見た窓の高さやサイズがバラバラになってしまったケースです。統一感のない窓の配置は、外観のデザイン性を損ね、散漫な印象になります。
窓の形には引き違いだけでなく、縦長の上げ下げや滑り出し窓、正方形や八角形、円形のデザイン窓もあります。例えば正方形を複数組み合わせたり、細長の窓を並べて取り付けたり。装飾のための枠や花台、飾り雨戸などもあり、これらはリフォームで後付けも可能です。
窓の配置にこだわると、洗練された印象の家になります。新築でもリフォームでも、家の中と外の計画は同時進行で進め、暮らしやすく美しい窓デザインと配置で、更に美しい外観を目指しましょう。
ここまでくればきっと理想の外観デザインに巡り合えているはずです。途中で分からないことや、迷うことがあったら、集めた写真を見せながら専門家に相談してみましょう。プロならではのアイデアや新製品情報など、家づくりに役立つ提案をしてくれることでしょう。
下記に、海外のおしゃれな住宅事例をご紹介しています。自分の「好き」を探す参考にしてみてくださいね。