海沿いの地域に暮らす方にとって頭が痛いのは「塩害」です。直接海が見えるほどの距離でなくても、海から吹いてくる塩分を多量に含んだ風によって、あるいは塩分の多い水分が空気中に含まれていることによって、建物に錆びや腐食が起こりやすくなったり劣化が早まったりします。塩害の被害を最小限にするための対策と、塩害のある地域の外壁リフォームのポイントをお教えします。
海沿いの地域の住宅で注意したいこと
周囲を海に囲まれた日本では、多くの地域で塩害が起こる可能性があります。風向きにもよるため一概には言えませんが、海岸から5km以内にある建物は、なんらかの影響があると見ていいでしょう。
ちなみに、塩害の影響が大きい太陽光発電のソーラーパネルメーカーなどでは、塩害の被害が及ぶと想定される距離を以下のように設定しています。
- 沖縄・離島…海岸から7km以上
- 北海道・東北の日本海側…海岸から7km以内
- 瀬戸内海…海岸から約1km以内
- その他の地域…海岸から2km以内
距離に関わらず、車や自転車が錆びやすかったり、道路標識やガードレールなどが腐食していたりする地域は、塩害の被害が及んでいると考えられます。
塩害の被害が起きている屋根や外壁を放置すると、あっという間に劣化が進んでしまいます。塗膜が剥がれ落ちたところが紫外線や雨水の影響を受けて、被害がどんどん広がってしまうからです。長い目で見た修繕コストを最小限に抑えるためには、日ごろから早め早めのメンテナンスを心がけることが大切です。
外壁に必要な塩害対策とは?
自分でできる対策としては、こまめな水洗いが有効です。特に海からの風が来る側は念入りに塩分を落としておきましょう。ただし、高圧洗浄機などで強い刺激が加わると、塗膜を傷つけてしまい逆効果になることもあるため、注意が必要です。
塗り替え(再塗装)の際に、塩害に強い塗料を選ぶの効果的です。一般的に、以下のような塗料が塩害に強いと言われています。
- アクリルシリコン樹脂系塗料
- フッ素系塗料
- 無機系塗料
これらの塗料は、通常の塗料に比べて1㎡あたりの単価が高額になります。しかし、1回の塗り替え(再塗装)を安くしたいということにこだわりすぎると、塗り替え(再塗装)の頻度が増えて、結局は大きな出費につながってしまいます。また、塩害による被害が出てから塗り替えようと考えていると、外壁材自体が傷んで塗り替え(再塗装)では対応できず、張り替えになってしまう場合もあります。家を建てた工務店やハウスメーカーなどと相談して被害がでる前に塗り替え(再塗装)するスケジュールを組むのがおすすめです。
塩害を受けにくい外壁にするという方法も!
こまめな水洗いの手間や頻繁な塗り替え(再塗装)などの出費を避けたい方は、外壁材自体を塩害に強いものにするという方法はどうでしょう。たとえば、塩化ビニル樹脂で作られた樹脂サイディングは、錆びたり腐食したりする心配がありません。
木材に近いやわらかな質感やカラフルな色合いは、海沿いの地域に多いモダンな住宅にぴったり。また、素材自体に顔料が練りこまれているので、色落ちや色あせがほとんどなく、いつまでもキレイな外観を保つことができます。
樹脂サイディングは日本ではまだあまり普及していないため、施工実績のある工務店が少ないのですが、塩害や凍害の被害が多いエリアでは扱っているところが増えてきています。塩害のある地域へ新しく家を建てられる方はもちろん、塩害を防ぐためのリフォームを考えている方は選択肢にいれてみてはいかがでしょうか?