プロが教えるリフォームの外壁材の選び方。種類によってのメリット、デメリット。

トイレやお風呂、台所といった水回りのリフォームは考えたことがあっても、外壁に定期的なリフォームが必要だということは意外と知らない方が多いのではないでしょうか。常に日光や雨風にさらされる外壁は思った以上に傷みやすいもの。長く快適に住まい続けるために外壁リフォームが必要な理由と、外壁材の特徴をお教えします。

外壁リフォームはなぜ必要なの?

プロが教えるリフォームの外壁材の選び方。種類によってのメリット、デメリット。

外壁にはさまざまな役割がありますが、新築の状態のままから年数が経つとどんどん塗装が劣化していき、いずれ雨などの浸入を防ぐ事ができなくなります。さらに、放置すると住宅の寿命を縮めてしまうことにもつながりかねません。

外壁の役割

  • 家を雨風、台風、雪などから守る
  • 太陽光を遮ったり、暑さや寒さから守る
  • 外の騒音を減らし、落ち着いて暮らせるようにする
  • プライバシーを保護し、安心して生活できるようにする
  • 建物を美しく見せ、住まいの個性を出す

一見まだ綺麗に見える状態でも、新築時のような艶がなくなっていたり、チョーキング現象(壁をさわると指にチョークの粉のように塗料の成分が付く)が起こっていたら危険なサイン。外壁材が防水性を失っているという証拠です。湿気を帯びた壁が乾く際に少しずつゆがみが生じ、小さなヒビが発生するようになります。そのヒビから水が徐々に侵入し、結露や湿気の原因となって、防水シートの内側にある鉄骨やコンクリート、木材などがどんどん劣化していくのです。

劣化が進むと、地震や台風などの被害も受けやすくなります。また、建物の土台の補修工事が必要になり、多額の費用がかかる可能性もあります。定期的な外壁リフォームを行うことにより、こうした心配を避けることができます。

外壁材ごとのメリット、デメリット

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では、実際にリフォームをする場合にはどうすればよいかということですが、まずはどのような外壁材を使うかを決める必要があります。

モルタル

砂とセメントと水を混ぜ合わせた材料を、下地板の上から塗り付けていく工法で、吹き付けタイル、リシン、スタッコなどの種類があります。継ぎ目がなく、曲面などどんな形状の外壁にも施工できる一方で、左官職人や仕上げを行う塗装職人の腕の差が出やすいという面も。また、乾燥収縮によるひび割れが発生しやすいため、こまめなメンテナンスが必要です。

サイディング

サイディングボードと呼ばれる板状の外壁材を現場で張り付けていきます。材料によって、窯業サイディング、金属サイディング、木質サイディング、樹脂サイディングの4種類があり、それぞれの特徴が異なりますが、共通するメリットとしては工期が短くて済むためコストが抑えられる点が上げられます。また、工業製品のため職人の腕の差が出にくいことやデザインが豊富なことも人気の理由です。

ALC

ALCとは軽量気泡コンクリートのことで、パネル状に成型されたものを現場で貼り付けていきます。内部の気泡が空気の層を作るため熱伝導率が低く、夏は涼しく冬は暖かく過ごせます。また、耐久性が高いのも特徴です。デメリットとしては、防水性が低いこと。吸水性の高い素材のため防水塗装は必須です。また、パネルのサイズが小さいため継ぎ目が多くなり、定期的なシーリング(目地材)のメンテナンスを怠ると、漏水しやすくなります。

タイル貼り

強度があるため傷がつきにくく、色あせもしにくいので美しい状態を長く保つことができます。また、吸水性が低く雨に強いのもメリットのひとつ。ただし、製品そのものが高価格なことや高い施工技術が必要とされることから初期費用が高くなりやすいのが難点です。

その他、漆喰やレンガ、板張りといった工法もあります。

サイディングの種類は4つ。あまり知られていない素材にも良いものが

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1980年代ごろまではモルタルが主流でしたが、現在ではサイディングが7~8割と圧倒的なシェアを占めています。なかでも最近の住宅の外壁材としてもっとも多く使用されているのは窯業サイディングですが、近年ではそのほかの素材も施工例が増えつつあります。

窯業サイディング

セメント質と繊維質を主な原料としたもので、タイル調、レンガ調・石積み調といったようにデザインが豊富で、価格帯もバリエーションに富んでいるため安価での設置も可能です。また、耐震性、耐火性に優れているのが特徴です。ただし、吸水性が高いため定期的なメンテナンスを怠ると、建物に大きなダメージを与える可能性があります。

金属サイディング

スチールやガルバリウム、アルミニウムといった金属鋼板を断熱材で裏打ちしたものです。断熱性・防火性に優れているのが特徴で、水分を吸収せずひび割れや凍害の心配がないのでメンテナンス周期は比較的長め。風の強い地域や寒冷地でよく使われます。また、軽量で取扱いがしやすく、モルタル外壁の重ね張り(カバー工法)にも使用されます。素材によってはサビに弱いものがあるため、サビをみつけたらすぐに対処が必要です。

木質サイディング

天然木などに塗装を施したもので、天然素材ならではの質感や風合いを楽しみたいという人に好まれています。ただし、耐火性が低く、汚れやすいというデメリットがあり、価格も高くなりがちです。そのため家全体ではなく、一部分にアクセントとして使われることが多いようです。

樹脂サイディング

塩化ビニル樹脂を主な素材としていて撥水性があり、水や湿気をほとんど吸いません。素材自体に顔料が練りこまれていて、長期間使用しても色が剥げたり色落ちしたりしないのもメリットで、施工の際にシーリングを使用しないので、長期間ほぼメンテナンスなしで使い続けることができます。凍結して割れることがほとんどないことから、寒冷地でよく使われるほか、塩害や酸性雨にも強いため、海沿いの地域にも適しています。カラーバリエーションは豊富ですが、長期間張り替えの必要がないため、飽きがこない色やデザインを選ぶ必要があります。

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それぞれの特徴を理解して、優先順位を明確に

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外壁材にはさまざまな種類があり、耐久性、耐火性、耐震性、コスト、デザイン性などそれぞれに一長一短があります。一昔前にはあまり知られていなかった素材の良さが認められてきたり、最近の住宅のデザイントレンドに合った工法が人気になっていたりもするため、この機会に、リフォーム前にはさまざまな外壁材を比較検討してみることをおすすめします。

選ぶ際には、デザインやコストだけでなく、自分の住んでいる地域の気候の特徴や、お住まいの建物の環境(日当たりや雨風の当たり方など)を考慮したうえで、適した商品を選ぶと失敗が少なくなります。また、可能であれば実際にその素材を使ったお宅の外観を見せてもらうと経年変化がわかりやすいでしょう。

※記事内容は執筆時点のものであり、予告なく変更される場合があります。最新情報をご確認ください。
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